第65回:春は悪化しやすい?「過敏性腸症候群」

第65回:春は悪化しやすい?「過敏性腸症候群」 健康コラム

~知ってるようで知らないこと~

過敏性腸症候群とは?

過敏性腸症候群とは?

「過敏性腸症候群:IBS(※1)」とは、小腸や大腸に異常が無いのに、腹痛や腹部膨満感といった不快感や、下痢や便秘などの便通異常を慢性的に繰り返す病気で、日本人のおよそ10人に1人が患っていると言われている病気です。

過敏性腸症候群の症状によっては、外出がままならなくなることも多く、QOL(※2)=生活の質を下げてしまう非常に辛い病気です。

(※1)…IBS=Irritable Bowel Syndromeの略
(※2)…QOL=Quality of lifeの略

過敏性腸症候群の分類

過敏性腸症候群は、症状によって次の3つのタイプに大きく分けられます。

下痢型

😖 下痢型

男性に多いタイプで、不安や緊張で腸のぜん動運動が過剰となり、腸内の水分が吸収されず、軟便・水様便などの下痢症状を突然起こします。


突然便意に襲われることで、通勤・通学・外出が困難になる場合があり、また、そのような不安が新たなストレスとなり、更に病状を悪化させるといった悪循環に陥ります。

便秘型

😖 便秘型

腸管がけいれんを起こして便が停滞します。便秘によるお腹の張りや不快感、食欲不振などに悩まされます。ガスが出やすいことで人前に出ることに不安を感じたり、ガスを我慢することによる腹痛に悩まされたりします。

もともと便秘気味の人がなりやすく、女性に多くみられるタイプです。ストレスを感じることで症状が悪化します。

交代型

😖 交代型

下痢と便秘を交互に繰り返します。

過敏性腸症候群の原因

過敏性腸症候群の原因の全貌は、まだ明らかにされていません。しかし、様々な研究から次の要素が深く関係していると思われています。

ストレス

🤔 ストレス

腸の働きは、自律神経が大きく関与しています。不安や緊張といった強いストレスがかかると、自律神経のバランスが乱れ、蠕動運動の強弱が極端になり、腸の働きが低下します。

腸の知覚過敏

🤔 腸の知覚過敏

下痢や便秘の繰り返しや、腸内細菌の変化などにより、腸の粘膜の細胞が知覚過敏を起こし、少しの刺激で腹痛や下痢を起こすと考えられています。

最近の研究では、細菌やウィルスによる感染性腸炎の回復後に過敏性腸症候群を発症しやすいことがわかってきています。

セロトニン

🤔 セロトニン

脳でストレスを感じると脳から腸へストレスホルモンが伝わり、腸内のセロトニン分泌量が増加し、そのセロトニンとセロトニン受容体が結びつくことで腸の蠕動運動が過剰になり、腹痛や下痢を頻繁に起こすようになります。

過敏性腸症候群の治療は?

過敏性腸症候群の治療は、まず生活習慣の改善から行っていきます。生活習慣を改善しても症状が治まらなければ、服薬治療を開始します。

生活習慣の改善

🔵 生活習慣の改善

栄養バランスの良い規則正しい食事、ストレスを発散、充分な休養や睡眠を心掛け、適度な運動を習慣化するようにしましょう。

服薬治療

🔵 服薬治療

使用する代表的な薬剤には、腸の蠕動運動を整える薬や、プロバイオティクス(ビフィズス菌や乳酸菌など)、便の水分量をコントロールする薬などがあります。また、腸の過剰な蠕動運動を改善する薬〔下痢型の場合〕、便を柔らかくする薬〔便秘型の場合〕など症状に適した薬剤と、止瀉薬・便秘薬などの頓服薬や、抗コリン剤のような補助薬を併せて使用することもあります。

心理療法

🔵 心理療法

心因性のストレスが強い場合や、過敏性腸症候群の症状のせいで気持ちが不安定な場合は、他の治療と並行して心理療法を行う場合があります。

過敏性腸症候群の方は、この時期の日々の過ごし方に特に気をつけていただきたいと思います。

4月から新生活をスタートした方もいらっしゃると思います。季節の変わり目で自律神経のバランスが乱れやすい上に、新たな環境が「不安」や「緊張」を強め、ストレスとなりますので、過敏性腸症候群の方は、この時期の日々の過ごし方に特に気をつけていただきたいと思います。

タイトルとURLをコピーしました